私の素敵な共演者、コンサートマスター
2013-05-26



みなさんこんにちは。ピアニストの中川賢一です。
本日から3日間せんくらブログを担当させて頂きます。
よろしくお願い致します。

さて今日は、共演者でいつも凄いと思うコンサートマスター、
その中でも私が凄いな・・・と思うお二人の話をしたいと思います。

まず最初は仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター
の神谷未穂さんです。
彼女もご主人のエマニュエル・ジラールさんも非常に大切な
友人であり、何よりもお二人は私が尊敬する素晴らしい
音楽家です。
こう書くと本人に怒られるかもしれませんが、神谷さんは
スーパー美人にも関わらず「旦那はエマニュエル、だから私は
エマニュエル夫人、ガッハッハー!」と笑い飛ばす、
とんでもなく凄い方です。

さて、2011年3月11日私は東日本大震災を仙台の実家で遭遇
しました。その日は実家にいるのは危険と判断し、避難所で
過ごした私は次の日に神谷夫婦に連絡。

中「まさか仙台にいないよね?」

神「いまエマ(旦那)と県庁でニュース見てる。
家に食べ物もあるよ、来ない?」

というなかなかポジティヴな返事。
なんと震災二日目なのにバスが動いていた・・・
飛び乗って県庁へ。

しっかりと私の分の菓子パンもゲットしてくれた神谷夫婦とハグ。
生きててよかったね・・・と。
何と青年文化センターで仙台フィルのリハーサル中だったそうな。
シャンデリアが落ちてきたら確かに命はなかったかもしれない。

あまり時間を置かずして、県庁のあるところで大人同士が
喧嘩を始めた。どうやら携帯電話の充電に関してらしい。

A「なんでお前は一人でこんなに長く充電してるんだ!」
B「だって俺が先に始めたんだからかまわないだろう!」
A「なんで一人ばっかりそんな長いんだ?」
B「フル充電したいんだから1時間半かかるんだ!文句言うな!」
A「みんな待っているぞ! 一人だけ長くするな!」
(以下同様な会話エンドレス)

この会話に、火中の栗を拾いに行くように何故か神谷さんが

「あっ、すみません。もしよろしければ私が時間を書いて
皆さんで充電するようにしましょうかぁ??」

唐突に猛進。
しかしながら、争っていた二人の男どもは、おとなしく服従。
 
凄い。凄い!凄い!!

これが、コンサートマスターという者か!!!
有無を言わせない。
結局彼女を中心として数人お手伝いも含め、11時から18時半
まで県庁でタコ足に様々な充電器を付け、にわか充電屋さんに。
(そんなのあるのかわかりませんが)ゴザ代わりの段ボール紙に
時間を細かく書いては
「Aさん充電終了です!いらっしゃいますか??」
「B社の充電器使用者が帰られるので、他の方B社の充電器
お持ちの方しばらく貸していただける方いらっしゃいませんか?」
などどいう事を叫んでいました。
到底彼女のことを、かの仙台フィルのコンサートマスターと
思った人はいないだろうと思います。
実際「県庁の方ですか?」と声かけられたりしたので、
県庁職員と間違えられたのかもしれません。

あまりの傑作美談なのでアップさせて頂きました。
 
神谷さんと旦那様のエマとは、地震直後も一緒に他の演奏家の
仲間たちと助け合い、最初の慰問演奏もしました。
これからも宜しく!

この時にやはり自分で思ったことは、非常事態でも人のために
何かすることをする温かい心を持ちたい、また、逆にコンサート
マスターというのは有無を言わせず人がついてくるような
カリスマの様な凄い力を持っている人がなるのだな・・・
と改めて納得しました。

さて、宣伝ですが5月31日19時より第一回仙台国際音楽
コンクールヴァイオリン部門第一位であり、フランス国立放送

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[中川賢一]

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